今シーズンのグルーンウェッターズバーグは、大エースの森薗選手が日本でのTリーグ参戦のため帰国、ドイツのワルター選手(WR42位)、ダン選手(WR161位)に加え先日のアジア大会で日本から2得点を挙げたグナナセカラン選手(インド、WR40位)とトキッチ選手(スロベニア、WR56位)が加入し、全く隙のないチームです。
私たちが勝つためには全てフルゲーム覚悟のオーダーを組み僅差で勝利を積み重ねるしかありませんでした。お互いに得意、不得意の相性があるだけにオーダーも重要でした。
試合開始前、相手のオーダーは完全に読み切りましたが、それでも各試合のハードゲームを乗り切らなければなりません。
第1試合は及川選手(No2)対ワルター選手(No1)。過去1勝2敗の対戦です。直近のワールドツアーでは1対4で敗退しましたが、やはりサーブからの展開が悪かったので今日は「1本目からこのサーブで行こう。ワルターが対策を練っているのはわかるけど、それも読みに入れて試合を進めよう」のアドバイス通りの試合展開で、強豪相手にに3対0での会心の勝利!
第2試合はキリアン選手(No1)対ダン選手(No2)。同年代の二人は何度も対戦していますが、ダン選手は昨年と比べられないくらい強くなっていて今日は敗戦ギリギリまで追い詰められます。しかしここから
完全に戦術を変え0対2からフルゲーム11対9で勝利!戦術を変えなければならない時に変えて、対応できるようになることがトップの試合では求められます。
今シーズンの新しいルールでは、この第2シングルスが終わった時点で、第4シングルスの選手と第5ダブルスの選手を審判に伝えます。No1でプレーした選手が怪我をしたり調子が良くない時に控えの選手が第4シングルスに出場できます。「今日の第4シングルスで、No1同士の対戦(キリアン選手対ワルター選手)なら五分五分だな」と感じていた矢先、控えに回っていたトキッチ選手が第4シングルスに出場してきました。キリアン選手はトキッチ選手には相性が悪いため、あと一勝を挙げるために気持ちを引き締めなければなりません。
第3試合はマヨロシュ選手(No3)対グナナセカラン選手(No3)。実質エースのグナナセカラン選手に対し各セットともジュースまで持ち込みますが、あと一点が遠く0対3で敗退。グナナセカラン選手はパワーがあるわけではありませんが、インド選手特有のテンポの速さと、多彩なサーブからのシステムを多く持っており崩れそうで崩れません。日本から2得点を挙げた実力は本物だと思います。
第4試合はキリアン選手(No1)対トキッチ選手(No4)。苦手なトキッチ選手に対し、徹底した戦術で先に2セットを奪いますが、ここからトキッチ選手が先にフリックし得意のバックハンドでの展開に持って行く戦術に変更し、最後まで対応できず痛恨の逆転負け。ダン選手との対戦では自分が戦術を変更し逆転勝ちしたキリアン選手ですが、全く逆の展開になりました。今のキリアン選手の大きな課題は「自分が戦術を変えればそれだけリスクを背負うことになり試合を壊す可能性がある。そして相手が変えてきた時に瞬時に対応できるように技術と戦術の幅を身につける」ことです。これができるようになれば一気にトップの仲間入りをすることができると思いますが、練習ではなかなか身につけるのは難しいです。真剣勝負の本番の試合で成功体験を増やし「トップレベルでの試合」を学んでいくしかないと思います。
第5試合は及川・マヨロシュ組対ダン・グナナセカラン選手のダブルス勝負。お互いに初めての実戦でコンビネーションもわからないため我慢の試合展開となりますが、1対3で敗戦。
最後に及川選手が長いラリーから回り込みフォアハンドを打ちましたが、グナナセカラン選手の最も得意なバックブロックに2本とも捕まりゲームセットでした。グラシメンコ選手との試合でも同じでしたが、長いラリーから回り込んだ時に相手の得意なバックに打ってしまっては世界のトップにはまだ立てません。たとえどんな状況に追い込まれても相手のミドルが見え、打つコースを瞬時に判断しないとただの「良く頑張った。ナイスゲームだった」で終わってしまします。大きな反省点です。
【ハイライトビデオです】
確かに両チームとも総力を出し切った良い試合でした。私もリードしても油断はありませんでした。でも負けは負けです。一歩ずつ課題を克服して実力を上げていくしかありません。
次節は2週間をおいて再開されます。ヨーロッパ選手権(個人戦)があるためです。マヨロシュ選手はハンガリーチャンピオンとして試合に出場です。今日からすぐにクロアチアでの合同合宿に向かいました。キリアン選手は選手層の厚いドイツでは残念ながら出場できないので、第4節までの反省をまとめ、次節に備えます。及川選手も一旦帰国し、すぐに関東学生秋季リーグ戦に出場します。
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